とりあえずとーめーになるには

せんせい。世界がこわいです。

ぼくのまわり、おかあさんのまわり、おとうさんたちのまわり、にっぽんのくにの

ぜんぶがおそろしいです。

なので、にげたいので、かくれたいのでとーめーになるほうほうをおしえてください

とりあえずとーめーになったら、だれも気づかないし、かくれてもかくれなくてもいいって

おねぇさんが言っていました。

どうしたらとーめーになれるですか?

せんせいは言いました

「あら、ふつうにしてたらあなたはじゅうぶん透明よ。」

でも、せんせい、ぼくはほんとに見えなくなりたいんです。

「だいじょうぶよ、タカシ君、もう見えてないから。このまちのひとたちはいつでもとうめいになれるのよ。だって、みんながそれぞれにもってる色がみえるほど、めんどくさいこと言わないじゃない。だからね、ほとんど透き通っているのよ。」

へーそういうものなのですか。

「そうよ、実はね、せんせいはとくべつのメガネをかけてるからみんなが見えるの。これがなかったら、きっと教室のどこにだれがいるのかまったくわからないもの。」

ぼくはあんまりせんせいのいうことが理かいできませんでしたが

おとなしく、することにしました。いつもおとなしいのですが、もっとおとなしくしていたら

もっととーめーになれるかな、ってよこしまな心がちょっとあったのもあります。

ホームルームがおわると早くかえっておかーさんに知らせないと、だめなので走ってかえりました。

たしかにせんせいの言うとおり、かえるまでにまちにはひとかげがなくて、とっても透き通った夕ぐれでした。